diary/Kojima

・日本語、英語、ロシア語

最近、「らじる☆らじる」の録音スクリプトを作った関係で、 NHKラジオ第二のロシア語講座を興味本位で聞いている。

まだまだ「ロシア語ってこんな言語なんだ」とびっくりすることばかりなんだけど、 その中で特に面白いな、と思ったのが名詞の格変化。

日本語だと、名詞に「てにをは」を付けて名詞の意味を修飾するのだけど、 ロシア語だとそれが「格」とよばれる語形の変化で表わして、主に語尾の変化で、 「生格(日本語だと「…の」」とか「与格(日本語だと「…に」)」に変わるらしい。

ロシア語の場合、格が6種類あって、それなりのパターンはあるようなんだけど、 名詞自体に男性と女性、中性があって、それぞれにパターンが変るらしくて わけわかめ(苦笑)

外国語は英語(と大学でかじったドイツ語)くらいしか知らなかったので、それらとは全然違う言語を少しでもかじってみたい、 ぐらいのつもりで聞き始めたのだけど、 ロシア語を少し学んで思ったのは「英語ってブロークンなんだなぁ、、」ってこと。

文法をきちんと守っていない英語を「ブロークン・イングリッシュ」と言うけど、そもそも英語自体が、ロシア語とかイタリア語(こっちもヒマにまかせて聞いている)に比べるとずいぶんブロークンで、名詞の格変化とか人称に応じた動詞の変化とかがずいぶん崩れて簡単になっている感じ。

だからこそ英語が世界の共通語になったのだ、とも言えそうだけど、格変化とか人称変化とかを捨ててしまった結果、英語の場合、語順とイントネーションが重要になって、表現の帯域幅がずいぶん狭くなってしまっている気がする。

一つの文章の中に複数の名詞がある場合、日本語だと「てにをは」で、ロシア語だと「格変化」でそれぞれの名詞の役割を限定できるのだけど、英語だと語順や"of"で修飾するくらいになりそう。話言葉の場合はイントネーションで意味を追加することも可能なんだだけど、文字にしてしまうとその情報は落ちてしまう。

それで思い出したのがワインバーグの「ライトついてますか?」にあった「メリーさんの羊」の話。

この本を読んだ人はご存知だろうけど、英語的には"Mary had a little lamb." という文章がどれくらい多様に解釈可能か、という話で、極端な例では「メリーは子羊を食べた」とか「メリーは子羊を生んだ」みたいな解釈も可能になる。

多分これは、英語が格変化とか人称変化みたいな文法の機微を捨ててしまって、語順とイントーネションだけで意味を伝えようとしたことの副作用なんだろう。

さらに考えると、意味の表現力みたいなものが、英語の場合はかなり劣っていて、日本語なら「てにをは」で、ロシア語なら「格」で表現している意味を、英語に移そうとすると、語順やらofやら,(カンマ)で追記するとかで表現するしかない気がする。

言語というのは、使われるほど崩れていく(文法が簡単になっていく)ものなので、 その視点から言えば英語こそまさに国際公用語であり、さらにそれを国際化したのがグロービッシュなんだ、って話もあるようだけど 果して簡単になっていくことが進歩なのだろうか。 すり切れた言葉に「言霊」は宿るのだろうか?



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:42